第6回:「どこで働いているかわからない」――絶望の淵で見つけた調査の光
「仕事を変えたみたいなんです。今の会社も、どこに住んでいるかも教えてくれません」 そう肩を落として相談に来られたのは、元夫の転職を機に養育費が途絶えたHさんです。
養育費回収における最大の障壁は、「相手の所在と勤務先が不明であること」です。差し押さえようにも、対象(給与の支払い元)が分からなければ、裁判所も動けません。「逃げ得」を目論む側が最も多用する、卑劣な手段です。
1. 「逃げる側」が過信する隠れみの
「会社を辞めれば追ってこれないだろう」「住所を移せば見つからないはずだ」 不払い加害者は、そう信じて意図的に連絡を絶ちます。個人で調査しようとすれば、探偵に多額の費用を払うか、自分の足で探すしかありません。その労力とコストに力尽き、請求を断念してしまう被害者が後を絶ちません。
2. 弁護士が駆使する「情報の鍵」
しかし、2020年の法改正により、弁護士が介入することで「逃げ道」は劇的に狭まりました。
- 第三者からの情報取得手続(裁判所利用): 弁護士が申し立てを行うことで、裁判所を通じて、市町村や日本年金機構から「相手の現在の勤務先」の回答を得られます。また、銀行の本店に対して、相手の口座情報を一括して照会することも可能です。
- 職権による住所追跡: 住民票を移していれば、弁護士の職権調査で転居先を特定します。住民票を移さずに潜伏している場合でも、以前の勤務先や親族、あるいは携帯電話番号の登録情報など、あらゆる点から線を繋ぎ、相手の居所を絞り込みます。
3. 「被害者の声」:Hさんのケース
「もう一生、お金は返ってこないと思っていました」 Hさんの元夫は、SNSさえも削除して完全に姿を消していました。しかし、弁護士が「第三者からの情報取得手続」を利用したところ、元夫が隣県の建設会社に転職し、正社員として働いていることが判明しました。 「弁護士さんが『見つかりましたよ』と会社名を教えてくれたとき、震えが止まりませんでした。逃げ切れると思っていた相手の鼻を明かしたような、そんな気持ちでした」
4. 「見つかる」ことが最大の抑止力になる
相手方にとって最も恐ろしいのは、「隠れたはずの場所を特定されること」です。 弁護士が新しい勤務先に通知を送った瞬間、相手は「これ以上逃げても無駄だ。隠れれば隠れるほど、会社に未払いの事実が知られるだけだ」と悟ります。調査は単なる準備ではなく、

