「再婚したから養育費を減らして」への正しい対処:言い値に応じる必要のない「算定表」のルール

養育費回収事例集

元配偶者が再婚したり、再婚相手との間に新しい子どもが生まれたりしたタイミングで、「新しい家族ができて生活が苦しいから、毎月の養育費を下げてほしい」「払えなくなった」と勝手に振り込み金額を減らしてくる(または止める)のは、非常によくある王道のトラブルです。

しかし、相手が勝手に決めた言い値や、感情的な「大変アピール」にあなたが振り回される必要は1ミリもありません。

  • 「勝手な減額」は法律上一切認められない
    • たとえ相手の生活環境が変わったとしても、一度離婚時に決めた養育費の金額を、相手が自分の判断だけで勝手に減らすことは法律上許されません。もし勝手に減らされた場合は、これまでに解説した口座や給与の差し押さえ(強制執行)をそのまま実行することができます。
  • 減額には「裁判所の調停」が必要であり、すべて機械的に計算される
    • どうしても金額を下げたいのであれば、相手は家庭裁判所に「養育費減額調停」を申し立てる必要があります。そして裁判所が減額を認めるかどうかも、感情論ではなく「お互いの現在の年収」「相手の再婚相手の収入」「新しい子どもの数」をすべて裁判所の公式な算定表(シミュレーター)に当てはめて、機械的にパチパチと計算されるだけです。
    • もし相手の再婚相手にしっかりとした収入がある場合、相手の生活費負担が減ったとみなされ、新しい子どもが生まれても養育費が「ほとんど減らない」ケースも多々あります。相手から「減らして」と言われたら、「裁判所のルール(調停)で決まった金額には従いますので、手続きをどうぞ」とだけ返し、調停の場で淡々と現在の収入証明を出し合うのが最もスマートな防衛線です。

「公正証書も調停調書もない」からのスタート:LINEの履歴や手書きの約束から公的インフラへ繋げる一歩

離婚するときに話し合いがこじれるのを恐れ、「毎月○万円払う」という口約束や、LINEでのメッセージ、普通の紙にペンで書いた合意書(離婚協議書)だけで別れてしまい、裁判所を通じた書類や公正証書を作っていなかったというケースも、実は大衆間で一番多いパターンです。

「公的な書類がないから、もう差し押さえもできないし諦めるしかない」と思う必要はまったくありません。今からでも、役所や裁判所の力を借りて「最強の書類」を作る王道のルートがあります。

  • 家裁に「養育費請求調停」を申し立てる(費用は数千円)
    • 公正証書がなくても、今から家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てれば大丈夫です。弁護士を雇わなくても、自分で裁判所の窓口に行けば、親切に書類の書き方を教えてもらえます。費用も収入印紙代や切手代の数千円程度しかかかりません。
    • 調停が始まれば、裁判所(調停委員)が間に入って相手に対して「子どもの親として、これだけの金額を支払いなさい」と説得と話し合いを進めてくれます。
  • LINEの履歴や手書きのメモは「過去の未払い」を証明する強力な武器になる
    • 調停の場で、相手が「そんな約束はしていない」「払うなんて言っていない」としらを切ろうとしても、「毎月○万円払うね」と入ったLINEのスクリーンショットや、手書きの合意書のコピーを裁判所に提出すれば、それは立派な証拠になります。
    • 裁判所は「支払いの合意があった」と認めやすくなり、調停が成立すれば、念願の「調停調書(これがあればいつでも給料を差し押さえられる最強の書類)」が手に入ります。口約束だからと諦めず、まずは裁判所の調停という「お墨付き」をもらうための最初の一歩を踏み出すことが、確実な回収への最も近道です。

相手の言い訳を封じ、まずは「ルール」の土俵に乗せる

相手が再婚して言い訳をしてこようと、離婚時の約束が口約束やLINEだけであろうと、現代の日本の司法システムは「子どもの育つ権利」を最優先で守るようにできています。

相手の勝手な主張に耳を傾ける必要はありませんし、公的書類がないからと泣き寝入りする必要もありません。

私たちがやるべきことは、相手を感情的に責めることではなく、裁判所や算定表という「誰もが使える普通の仕組み」の土俵に相手を引っ張り出すことです。ルールに乗せてしまえば、あとはシステムが自動的にあなたと子どもの味方になって進んでいきます。どうぞ安心して、王道の手続きを活用してください。