「あと一年、せめてあと数ヶ月あれば……」 進学そのものを諦めるケースと同じくらい、あるいはそれ以上に残酷なのが、夢の途中で「梯子を外される」ケースです。第6回は、親の無責任な不払いが原因で、掴みかけた自立の道を閉ざされた女性の物語です。
1. 期待とともに始まった「自立への第一歩」
Cさんの娘、沙織さん(仮名)は、地元の美容専門学校に入学しました。カットやカラーの技術を学び、いつか自分の店を持つことを夢見て、毎日遅くまで居残りで練習に励んでいました。 離婚時、父親は「学費だけは必ず最後まで面倒を見る」と約束し、入学金と1年目の前期授業料までは、確かに振り込まれていました。
2. 突然の「送金停止」という絶望
事態が急変したのは、2年生に進級する直前でした。 それまで定期的にあった送金が、何の説明もなく途絶えたのです。Cさんが慌てて連絡を取ると、元夫からは「再婚相手との間に子どもができた。向こうの生活が優先だ。もう学費は出せない」という、身勝手極まりない返信が届きました。
沙織さんはアルバイトを増やして必死に抵抗しましたが、専門学校の過酷な実習と高額な教材費、そして何十万円もの授業料を、ハタチ前の若者が独力で賄うには限界がありました。
3. 「除籍通知」がもたらした空白のキャリア
結局、期限までに授業料を納めることができず、沙織さんに届いたのは「除籍通知」でした。 あと半年で国家試験の受験資格が得られるという、まさにその直前の出来事でした。
「美容師になるために費やした1年半の時間も、これまでに払った何百万という学費も、すべて無駄になってしまった」
現在、沙織さんは資格がなくても働ける非正規のサービス業を転々としています。同期だった友人たちが「スタイリストデビューした」というSNSの投稿を見るたび、彼女はそっと画面を閉じ、自分の手が負っている「ハサミを握るはずだった空白の時間」を見つめています。
コラムのツボ:不払いは「過去の投資」すら奪い去る
養育費の不払いは、将来の不安を煽るだけではありません。それまでに積み上げてきた努力、時間、そして投じられた先行投資のすべてを「ゴミ」に変えてしまう破壊力を持っています。
「相手も事情があるだろうし……」と静観している間に、事態は取り返しのつかない段階(中退や除籍)まで進んでしまうことがあります。 相手の「払えない」という言葉に情けをかける必要はありません。それは子どもに対する背信行為です。沙織さんのような悲劇を防ぐためには、不払いの予兆が見えた瞬間に、容赦なく法的強制力を行使し、学費という「未来へのライフライン」を死守しなければならないのです。

