「進学できたのだから、まだマシではないか」 そう思われるかもしれません。しかし、不払いの代償を「子ども自身の借金」で埋め合わせたとき、その若者が社会に出る瞬間に背負わされる絶望もまた、深刻なものです。
1. 穴埋めとしての「フル借入」
Bさんの娘、真由さん(仮名)は、大学進学の際、父親からの養育費が途絶えていたため、日本学生支援機構の奨学金を「第一種(無利子)」と「第二種(有利子)」の両方、上限まで借りる選択をしました。 父親は「今は金がないが、出世したら学費を援助する」と口では言いながら、実際には新しい家庭での生活を優先し、真由さんの入学金すら一円も出しませんでした。
2. 卒業と同時に現れた「500万円の壁」
4年間の学生生活を終え、真由さんが手にしたのは卒業証書だけではありませんでした。 「返還明細」に記されていた借入総額は、約500万円。 社会人1年目、手取り18万円の給与から、毎月2万数千円の返還が始まりました。それは、彼女が40歳を過ぎるまで、20年以上続く計算でした。
「友達は初任給で旅行に行ったり、服を買ったりしている。でも私には、最初からマイナスのスタートラインしか用意されていなかった。お父さんが約束を守ってくれていれば、この毎月の2万円で、私はもっと違う未来を描けたはずなのに」
3. 「結婚」や「出産」さえも躊躇させる重圧
現在、真由さんには結婚を考えているパートナーがいます。しかし、彼女は自分の数百万に及ぶ借金を打ち明けることができずにいます。 「この借金を抱えたまま結婚していいのか」「もし子どもができたら、返還はどうなるのか」。 養育費の不払いは、単に「学生時代の苦労」で終わるものではありません。それは子どもの成人後、人生の大きな決断を下すべき場面で、足枷となって付きまとい続けるのです。
コラムのツボ:20年後の子どもに「負債」を遺さない
奨学金は、学ぶ意欲のある学生を支える素晴らしい制度です。しかし、それが「本来支払われるべき養育費の代わり」として使われるとき、それは親の義務を子どもに肩代わりさせていることに他なりません。
「今、お金がないから奨学金で」と安易に考える前に、今一度、制度を使って相手から回収する道を模索してください。今、あなたが勇気を出して差し押さえの手続きをすることは、20年後のわが子が「自分の給与を自分のために使える自由」を守ることに直結しているのです。

