「役員報酬ゼロ」という自営業・経営者の偽装工作を破壊する

養育費『養育費執行の完全体系』

自営業者や個人経営の社長に多いのが、「新しく会社(法人)を作って、自分の役員報酬をあえて『ゼロ』、あるいは月数万円の低額に設定し、生活費はすべて会社の経費で落としている」という極悪な財産隠しです。

「個人の収入がないから差し押さえられない」と言い張る相手ですが、実務の現場ではこの歪んだスキームを真っ向から粉砕するアプローチが存在します。

  • 「法人格否認の法理(ほうじんかくひにんのほうり)」の適用
    • 会社と個人は法律上「別の人格」ですが、その会社が単に「養育費の支払いや差し押さえを逃れるためだけに作られた隠れみの(形骸化したペーパーカンパニー)」であると認められる場合、裁判所はその会社と個人を同一視します。
    • これにより、個人の給与ではなく、「会社名義の銀行口座」や「会社の売買代金債権(取引先からの入金)」を直接差し押さえるルートをこじ開けることが可能です。
  • 「潜在的稼働能力(せんざいてきかどうのうりょく)」による算定
    • 裁判所(家庭裁判所)は、相手の現在の「自称・無収入」をそのまま鵜呑みにはしません。「この年齢、この資格、この職歴であれば、普通に働けばこれだけ稼げるはずだ」という潜在的稼働能力をベースに、平均賃金(賃金センサスなど)から逆算して養育費の額を強制的に決定(審判)します。「稼いでいないから払わなくていい」という理屈は通らないのです。

15. ステルス化する「デジタル資産(暗号資産・ネット銀行)」の完全捕捉

「主要なメガバンクの口座はすべて解約した」「全財産をビットコイン(暗号資産)やネット銀行に移したから、もう追えないはずだ」と高を括っているケースです。

時代のアプデートに伴い、こうしたデジタルな逃げ道に対する司法の網も100%最適化されています。

  • 国内の「暗号資産交換業者(取引所)」への一斉照会
    • ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)自体を直接差し押さえるのは技術的に困難ですが、相手が利用している「国内の取引所(bitFlyerやCoincheckなど)」を特定できれば、裁判所の手続き(第三者からの情報取得手続)を使って、相手が持っている「暗号資産の返還請求権(日本円に換金して引き出す権利)」を差し押さえることができます。
  • ネット銀行の網羅的チェック
    • 楽天銀行やPayPay銀行、住信SBIネット銀行といった主要なネット銀行も、現在は裁判所からの開示命令に対して非常にスムーズに情報を提供します。店舗を持たない銀行だからといって、法執行の手から逃れることは絶対にできません。

💡 コラム全体の真の総括:理不尽を、次の世代に引き継がない

初期の公正証書作成から、転職、自己破産、海外逃亡、経営者の偽装工作、そしてデジタル資産の追跡に至るまで、ありとあらゆる「逃げ道」を塞ぐ実務戦術を網羅してきました。

養育費不払いという理不尽に対して、あなたが「システムを執行する」という意思を持ち続ける限り、その逃げ道はすべて更地にされます。

相手がどれほど知的な屁理屈(ディベート)をこねようが、どんなに巧妙に姿をくらまそうが、すべてをノイズとして切り捨て、用意されたロードマップを淡々と進めてください。あなたのその毅然とした一歩が、子どもとあなたのこれからの人生に、確固たる平穏と正当な権利をもたらす最大の盾となります。