第3回:「LINEもブロック」——音信不通の壁を弁護士が壊す瞬間
「もう、どこにいるのかも分かりません……」 そう語るのは、数ヶ月前から元夫への連絡手段をすべて断たれたEさんです。
養育費の支払いが止まった直後、問い詰めるメッセージを送った瞬間にLINEは「既読」にならなくなり、電話をかけても着信拒否。共通の知人に聞いても「知らない」の一点張り。こうした「音信不通による逃げ得」は、不払い被害者が直面する最も高く、絶望的な壁の一つです。
1. 個人では超えられない「ブロック」の壁
SNSや無料通信アプリが普及した現代、連絡先を遮断することは驚くほど簡単になりました。 「住所も知らないし、実家とも疎遠。これ以上、どうやって追いかければいいの?」 被害者がそうして諦めてしまうのを、相手方は手ぐすねを引いて待っています。しかし、個人のスマホで「ブロック」はできても、「法」という公的なネットワークから逃げ切ることはできません。
2. 弁護士が「居場所」を突き止める仕組み
弁護士が受任すると、まず相手方の「現住所」を特定することから始めます。これには、個人では絶対に行えない強力な法的手段を用います。
- 職権による住民票・戸籍の調査: 弁護士は受任した事件の解決のために、正当な理由があれば相手方の「戸籍附票」などを取得できます。これにより、相手がどこに住民票を移したのか、一歩ずつ足取りを追うことが可能です。
- 弁護士照会(23条照会): 携帯電話番号さえ分かれば、通信会社に対して契約者情報の開示を求めることができます。また、以前の勤務先が分かれば、そこから給与の振込先口座や現在の連絡先の手がかりを掴むこともあります。
3. 「被害者の声」:Eさんのケース
「ブロックされたときは、一生逃げられるんだと絶望しました」と振り返るEさん。 しかし、弁護士に依頼してからわずか2週間後。相手方の新しい引越し先へ、弁護士名義の「受任通知」が届きました。 「相手はまさか自分の住所がバレるとは思っていなかったようで、通知が届いた翌日には、弁護士さんの事務所に慌てて電話がかかってきたそうです。あれほど無視され続けていたのに、プロが動くとこうも違うのかと驚きました」
4. 遮断された対話を「法的交渉」に強制移行させる
相手がLINEをブロックするのは「あなたと向き合いたくないから」です。しかし、弁護士からの書面は、無視をすれば「給与差し押さえ」や「裁判」という実害を伴う重い警告として機能します。
弁護士は、相手方がどれほど隠れようとしても、法的な包囲網を狭めることで、「無視し続けることの方がリスクが大きい」という現実を突きつけます。音信不通という壁は、弁護士が介入した瞬間に、解決へと続く「交渉の入り口」へと変わるのです。

