第6回:間接強制制度

養育費『養育費執行の完全体系』

支払わない相手に「毎日ペナルティ」を課す方法

預貯金の差し押さえ(直接強制)は、口座に残高がなければ空振りに終わります。しかし、資産が見当たらない、あるいは特定が難しい場合でも、相手の心理を追い詰めて自発的な支払いを促す制度があります。

第6回では、義務を果たさない相手に対して金銭的な制裁を科す「間接強制」の仕組みを解説します。

1. 間接強制とは何か

間接強制は、裁判所が相手に対し「次に期限を過ぎたら、1日につき〇〇円を別途支払いなさい」と命じる制度です。

・直接奪うのではなく、心理的に追い込む 相手の財布から無理やり現金を抜き取るのではなく、「このまま払わないと、本来の養育費以上の莫大なペナルティ(間接強制金)が発生し続ける」という恐怖感を与え、相手自ら支払うように仕向けます。

2. 養育費における適用のしやすさ

以前は、この制度は「その人にしかできないこと(ピアノの演奏など)」の強制に限定されていましたが、法改正により養育費のような金銭債権にも広く認められるようになりました。

・不払いの事実だけで申し立て可能 一度でも養育費の支払いが滞れば、直接強制(差し押さえ)を試みる前であっても、あるいは差し押さえと並行して申し立てることができます。

3. ペナルティ金額の決定

間接強制金の額は、裁判官が諸事情を考慮して決定します。

・相場と効果 一般的には、本来の養育費の数倍程度の金額が「1日あたりのペナルティ」として設定されることもあります。例えば、月5万円の養育費に対し、1日5千円のペナルティが課されれば、1ヶ月放置するだけで本来の額とは別に15万円の支払い義務が追加されます。

4. 間接強制金そのものが「債務名義」になる

この制度の最も強力な点は、積み上がったペナルティ(間接強制金)についても、将来的に強制執行の対象にできる点です。

・雪だるま式の債務 相手が無視を続ければ続けるほど、法的に回収できる金額が膨れ上がっていきます。最終的に相手が資産を手にしたとき、あるいは職場が判明したときに、本来の養育費にこのペナルティを上乗せして一気に差し押さえることが可能になります。


制度のツボ

間接強制は、相手が「差し押さえさえ逃げ切れば、支払わなくて済む」という甘い考えを打ち砕くための制度です。

「逃げれば逃げるほど、支払うべき金額が青天井に増えていく」という状況を作り出すことで、相手を法的な包囲網の中に繋ぎ止め、自発的な履行へと誘導します。